TIFリベンジ
2023年8月6日に、お台場で開催されたTokyo Idol Festival(以下、TIF)の最終日に行ってきたので、記録を残しておきます。正直死ぬかと思いました。
去年のTIF
実は2022年のTIFにも参加していました。しかしその結果は惨憺たるものでした。初めてTIFに参加するということもあり、どのくらいの時間に行けばいいか全くわかっておらず、寝坊も重なり15時くらいに現地に着きました。お目当ての日向坂が出演するHOT STAGEというステージには、待機列がすでにできていました。炎天下でろくに熱中症対策もしないまま、汗だくで3,4時間ほど並んだ結果、会場に入るすぐ手前で列がストップし、日向坂のステージが始まってしまいました。あれほど悔しかった瞬間はありませんね。だって、すぐ向こうでライブをしているのに、その外でスマホの配信を見るなんて、そんな悲しいことありますか。TIFを舐めてた自分を責めつつも、来年こそは絶対に見るぞと決心した日でした。
並び始めまで
去年の反省を活かし、朝の7時50分くらいに現地に着きました。そしてリストバンドの交換列に並びました。周りを見ると、三者三様のオタクたちがいっぱいいました。その中でもおひさまを見つけると少し心強い気持ちになりましたね。
15分ほど並んだ頃でしょうか、ようやく列が動き始め、徐々に列の前の方に移動していき、8時10分ごろにはピンク色のリストバンドをはめることができました。あとはHOT STAGEの待機列に向かうだけです。場所はわかりませんが、おひさまっぽい人についていけばたどり着くでしょう。
列待機中
去年、炎天下で並んだ辛い経験があるので、今回は念入りに熱中症対策をしました。水筒・凍らしたスポドリ2本・日傘・扇子・涼しい格好など考えられるだけの対策を講じました。日焼け止めもちゃんと今回は塗りました。去年のケヤフェスで塗らなかったせいで、未だに日焼けが落ちていないので。
これらの熱中症対策グッズの中で、最も持ってきてよかったなと思うものは、ダントツで日傘ですね。日傘というものを軽視し続けてきた人生だったので、これほど効果があるとは思っていませんでした。かなりの直射日光が降り注いでいましたが、日傘のおかけでかなり涼しさも感じるくらいでした。
待機列では誠実そうなおじさんの隣でした。チラチラとおじさんを観察していると、きょんこの生写真っぽいものを持って写真を撮っているじゃありませんか。周りが他のアイドルオタクばっかりの中、仲間を見つけた気分でした。HOT STAGEの会場まであと2時間近くあったので、おじさんに思い切って話しかけてみました。
「おひさまですか?」 「あそうです😊」 「もしかしてきょんこ推しですか?」 「はい」 「僕もそうなんですよ!」
それ以降は色々な話をしました。日向坂を好きになったきっかけやライブの話、きょんことのミーグリの話など、気づけばあっという間に2時間が過ぎていました。Twitterも交換し、今日のライブも一緒に見ることにしました。
一応、相手のTwitterを見てみると、誠実そうな普通のおじさんの見た目に反して、Twitter上ではかなりのおじさん構文の使い手でした。ああ、おじさん構文ってこういう普通の人が使っているのかと、意外な発見がありました。おじさん構文を使うのが悪いわけじゃないですし、自然と推しへの愛を文字に起こした結果なのかもしれませんし。
HOT STAGE入り
2時間ほど並び、ようやく列が動きました。10時過ぎくらいにHOT STAGEに入りました。去年のHOT STAGEは室内だったので、てっきり今回も室内だと思っていましたが、列が明らかに室内じゃないところへ向かっていったので、びっくりしました。話が違います。さっき、待機列でスタッフのお兄さんが「冷房あります」って言ってたのは何だったんだ?デマを流すな。
日向坂の出番は19時くらいです。今は10時です。冷房の効いた涼しい部屋で座りながら、他のアイドルを鑑賞していようと思っていましたが、一気にその計画は崩れました。その真逆です。屋外でかつ立ちながら他のアイドルを19時まで見なければならないのです。ここから私の壮絶な戦いが始まります。
他のアイドルの鑑賞
一応、朝早くから来て、夜までずっと席を確保するのですから、礼儀として他のグループについてちょっとだけ移動中に調べてました。といってもSpotifyで音楽を聴くぐらいですが。予習の甲斐もあってか、全体を通して、知っている曲がたまに聞こえてくるので、少しだけ元気になれました。
先程のおじさんが、「きょんこはフォーメーション的に左側になることが多い。よって左側の席を確保しよう」と言ってきたので、私はそれに同意し、一緒に左側らへんの場所を確保しました。
幸いこのHOT STAGEの会場は屋根が存在したので、直射日光が当たることはありませんでしたが、それでもぎゅうぎゅう詰めの中の人の熱気がすごくて、これがあと9時間も続くのかと思ったら気が遠くなる思いでした。扇子で仰いでいても、空気を仰いでるのか、前のおじさんの匂いを仰いでいるのかわからないほど汗臭い匂いが漂っていて、気分は最悪でした。風通しはよく、たまに涼しい風が通るものの、人のムワッとした熱気がたびたび顔を襲ってくるので、新手のサウナかと思いました。あと原理的にトイレにいけないのもきつかったですね。行こうと思えば行けるのでしょうけど、一回でも客席を出たら、自分の席が残っている保証なんてありません。すぐに他の人が奪ってしまうでしょう。9時間も小便を耐えなければならないのです。
しかも、前にはかわいいアイドルとはいっても、私にとっては全く興味のない子たちが、爆音で何かを歌っています。耳がおかしくなるぐらいの音でした。Apple Watchが度々、騒音レベルがやばいからどうにかしろと腕を叩いてきました。もう「でびぱっぱ夏祭り」(11:10-12:10)の頃には、無限にも思える時間を経験したような気がします。ちゃんとした運動部に入って体力をつけておくべきだったと思います。
しかしながら知っているアイドルが出てくるとテンションは上がるもので、12:25からAKB48のステージがあり、全盛期時代の曲を何曲か歌ってくれたので、事切れそうだった私もなんとか耐えることができました。AKB48グループのコールは、一部が坂道グループにも受け継がれているので、コールできるところはコールをして楽しみました。この頃には、押し合いへし合いの結果、待機列で隣だったおじさんとは離れ離れになっていました。
その後、「ねる、取材行ってきます」の公開収録があり、ねるちゃんを生で見ることができたおかけで少し体力が回復します。特にあざといセリフを言うコーナーで、ねるちゃんが「抜け出す?」と言った時は度肝を抜かれました。アイドルじゃないからこそ言えるセリフだなと感心したのをよく覚えています。
ババババンビの頃には結構強い雨が降ってきました。前回のTIFでは、日向坂のパフォーマンス自体は見れなかったものの、その後のグランドフィナーレは一応見ていて、そこにババババンビがいたことは覚えていたので、少し親近感はありました。ただ、こっちとしては日向坂だけを見に来ているので、さっさと終わってくれという感情しかありませんでした。申し訳ないです。
それ以降は言い方は悪いですが、同じようなグループが3連続で続きました。STU48, NGT48, HKT48です。この頃には、隣の人と少しだけ仲良くなっていました。客席にはたまに飲み物を売りにスタッフが来るのですが、客席の真ん中にいる人たちは飲み物を買いたくても、距離的にその意志がスタッフに届かないという現象が起きます。そこで隣の人達を伝ってその意志を伝えてもらうということが自然と起きていました。私がスタッフを目で確認して、財布を取る動作をしていると、隣のお兄さんが「飲み物買いますか?」と言ってくれて、スタッフに呼びかけてくれたのです。
その後、「日向坂ですか?」と聞かれ、その人もおひさまであることが判明するのでした。今回は周りの人に恵まれているなと思いました。隣に同じアイドルを見に来た同志がいるのは、一人でいるより何倍も心強かったです。
またその後、前二人もおひさまであることが判明し、自分の荷物を相手側の陣地におかせてもらえることができました。どうやらその二人は荷物を置くことによって、自分の陣地を広げているようでした。私はそこで、ここには政治があるんだと気づきました。
そこから4人でどう陣地を守るかの政治をすることになりました。基本的には一箇所に固めた荷物と一体となって前に進んでいく方針でした。48グループの終わり際には、凄まじい圧力で後ろから押されるのを感じました。次の指原グループのファンたちが、前に行こうとしているのです。私はさっきの飲み物を買うのを手伝ってくれたお兄さんとともに、自分たちの陣地を死守しました。ここを守ることで後ろから来ている人の流れを右側に流して分散させる作戦でした。
途中、隣のお兄さんの隣にいたお姉さんが、暑さで座り込んでしまうという事件もありました。そのお姉さんは一人で朝から並んでいたようです。彼女はかなり可愛かったので、周りのオタクたちにすごく心配されていました。さすがアイドルを推してるだけあるなと思いました。そして、そのお姉さんはイコラブ?を見に来てたみたいだったので、イコラブの出番のときには、先程の前二人のおひさまがより見やすい位置にお姉さんを移動させてあげてました。親切心なのか下心なのか、それはもう人の熱気にかき消されてわかりませんでした。
ニアジョイ、ノイミー、イコラブと何が違うんだかよくわからないグループが続きました(ファンの方には申し訳ないですが)。個人的に知っているメンバーはノイミーの鈴木瞳っていう方で、オッドタクシーという舞台でひよたんと共演してたはずです。
途中で、斜め前の中国人がやけに私たちの陣地に近づいてくるので、どうにかして移動させる方法はないかと考えました。考えた結果、扇子を中国人の左肩に触れさせて、中国人がそれに当たって右側に跳ね返った瞬間に、扇子も右側に少しずらすという方法でした。こうすることで徐々に中国人を右に移動させることができました。
しかし、もうこの頃には、水筒はすでに切れ、凍らせたスポドリがあと半分づつぐらいになってました。私は、意識も少し朦朧として、暑さで頭がガンガン痛くて、熱中症手前みたいな症状になってました。でも、これを耐えれば、これさえ耐えれば、日向坂に会えるんだと、自分を奮い立たせ、なんとか踏ん張っていました。隣のおひさまのお兄さんとも声を掛け合いながら、イコラブ(イコラブの次が日向)の終了を今か今かと待っていました。
ついに…
そしてついに19:00になりました。日向坂の出番です。もうこの時点で私は泣きそうでした。日向坂のOvertureがかかるともう、先程のまでの疲れはどこにいったのか、テンションがとにかくぶち上がりました。私の位置はというと、政治がうまく行ったこともあり、前から4列目まで行くことができてました。顔もばっちり見える位置です。
Overtureが終わり、日向坂が出てくるともう泣いてました。そして自分の一番好きな曲である『恋は逃げ足が早い』からのスタートでした。最高でした。その後の記憶はもうほとんどないです。ただ、心臓がバクバクして頭もガンガンして、このまま行ったら死ぬんじゃないか、いや日向坂の目の前で死ねたらどんなに幸せか、などと考えてました。昼頃から嫌に引いてた汗も、ここぞとばかりに滝のごとく流れ出てきました。以下にそのときの心拍数を示します。Apple Watchが記録してました。
ちょうど最後の一番盛り上がる曲『誰よりも高く跳べ!』で心拍数も最高潮に達していることがわかって、すごく良い記録だなと思います。
待機列おじさんの言ってた通り、きょんこは左側にいました。普段、ライブなどでも席はすべてランダムなので、メンバーがどの位置にいやすいかなどは考えたことがなかったので、すごく勉強になりました。きょんこは顔もばっちり見えて幸せいっぱいだったのですが、ひよたんが右側にいて、なかなか顔をはっきり拝むことができなかったのは残念でした。
3曲目に新シングルであるAm I ready?が披露され、見よう見まねでうさぎダンスを踊りました。周りの人もみんな踊ってたのですごく楽しかったですね。あとあの衣装、可愛すぎ。特にひなのちゃんが可愛すぎて脳溶けそうになる。
問題は4曲目ですよ。そもそもなんで私がTIFに参加することになったかというと、日向坂4期生の新曲である『見たことない魔物』が聴きたかったからというのがあります。そのために8000円を払う決断を下したと言っても過言ではないです。しかしこのステージで披露したの『ブルーベリー&ラズベリー』という4期生の1曲目にもらった曲でした。4期生もしかしたら2曲やるのかな?とも思い、楽しみにしていましたが、あっけなく1曲で終わり捌けていきました。こんだけ焦らされた挙げ句、見れない。もうどうにかなりそうでした。まあ全国ツアーで初めて見てねっていうことなのかもしれない。
『誰よりも高く跳べ!』で終わった後、人がいっせいに動き始めました。もう急ぐ必要すらないはずなのに、押し合いへし合いで倒れそうになりました。汗ダラダラな状態でもう早くここから脱出したかったのですが、ちょうど運良く、左側のフェンスに凭れ掛かれるところに漂流したので、そこで一旦、休むことにしました。
そうこうしているうちにグランドフィナーレが始まり、ねるちゃんとよゐこの濱口が出てきました。そしてなんと日向坂も出てきました。留まっといてよかったと本当に思いました。きょんこもひよたんも、止まった状態で眺めることができたので、本当に幸せな空間でした。推しメンタオルも一応、掲げてみたものの反応しているのかわかりませんでした。陣地を守り合っていたおひさまの一人からは「たぶん、レスもらえていたと思うよ」と言われましたが、実感が湧きませんでした。もらえたということにしておきましょう。
興味のないアイドルを見て気づいたこと
早く終わらないかなと思ってはいましたが、それと同時に気づきもありました。それは坂道グループにはないmixというコールが意外に楽しいということです。曲の冒頭で「よっしゃー!いくぞー!」から始まり「タイガー!ファイヤー!サイバー!ファイバー!ダイバー!バイバー!ジャージャー!」と叫ぶというものらしいです。私はこの順番が覚えられなかったので、ただひたすら「タイガー!ファイヤー!タイガー!ファイヤー!」と言っていました。なんでこの文字列が選定されたのかについてすごく興味があります。作られた経緯とか由来とか検索したら出てくるんでしょうかね。
あとガチ恋口上?というものも、初めて直で聞くことができました。「言いたいことが、あるんだよ!やっぱり〇〇かわいいよ!好き好き大好き、やっぱ好き!やっと見つけた、お姫様!俺が生まれて、きた理由!それはお前に、出会うため!俺と一緒に、人生歩もう!世界で一番愛してる!ア、イ、シ、テ、ル!」というものらしいです。私はこれを聞いた時、なんかすごく感動して泣きそうになりました。アイドルとファンという関係性は、傍から見たら非対称で歪んでいるように見えるかも知れないけど、それでもそういう関係の中で、こんなに全力で誰かのことを愛しているってすごく素敵なことだなと思いました。もしかしたら通常の人間関係が耐えうる愛の量を超えることがあるかもしれないとも思いました。普通の人間関係は、愛を与えなさすぎても、愛を与えすぎても、壊れてしまうものだと思います。連絡を数ヶ月とか取らなければ愛想を尽かされて振られてしまいますし、逆に相手に一方的に愛を注ぎまくると、気持ち悪がられることもあるでしょう。一方、アイドルとファンという関係は、ファンがアイドルを一時的に全く追わなくても、機能しますし(認知されてたの忘れられてしまうということはあると思いますが)、逆に相手に迷惑をかけない限り、どんなに愛を注いでも(ライブで全力で愛を叫んだり、長文の愛のファンレターを送ってみたり、巨額の資金を投じて空港に推しメンの誕生日広告を張ってみたり)基本的に許されます。私はアイドルのそういう面に引かれて、今の今までアイドルを推しているのかもしれないなと今回のTIFで気付かされました。基本的に人間関係を保つのがめんどくさいと思ってしまいがちですし、逆に好きになったら、それしか考えられないくらい全力になってしまうタイプなので、性に合っているのだと思います。
そして私は「歌詞を聞かせるアイドル」が好きなんだなということにも気づきました。他のアイドルが普段、どんなライブをしているか全部把握しているわけではないですが、全体的に歌詞というより勢いで場を盛り上げようとしているグループが多かった印象でした。TIFではそれが正解なのでしょうけど、やっぱり歌詞が聞き取れないと、あまり好きにはなれないなとも思ってしまいました。でも、そういう意味だとSTU48はいいなと思いました。ちゃんと歌詞を聴かせるタイプの楽曲も披露していて、自分のタイプに合ったグループだなと思いました。後日、色々曲を聴いていると『暗闇』や『息をする心』など自分の好きなタイプの楽曲が結構あり、最近良く聴いています。
最後に
去年の反省を存分に活かしたものの、会場が屋外だったことで、9時間も激アツ激クサ芋洗い人間熱気サウナ+パチンコ屋みたいな爆音という環境にいることになり、死ぬかと思いましたが、日向坂を見れたので良しとしましょう。日向坂はもうさすがに来年は出ないでほしい。
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